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2006/02/28

出雲の阿国

先月NHKで放送されていた、”金曜時代劇 出雲の阿国”。楽しみにしていたのに、私はあっさり初回を見逃してしまいました。初回を見逃すと、「今さら中途半端なところから見てもなぁ・・・」と、途端に見る気がしぼんでしまう私。「ならば!」と、ドラマは諦め、傑作の呼び声高い、原作「出雲の阿国」(有吉佐和子・中公文庫)を読んでみることにしました。

結果を先に述べると、これはもう文句なしに、私の人生のベストテンに入る素晴らしい小説でした。

とにかく文章が、どっしりとしていて重いのです。
場面の展開もめまぐるしく、例えるならば、てんぷら食べて、焼肉つまんで、アイスクリーム食べた後に、また寿司が出てくるといった感じでしょうか。本を読むスピードには自信がある私も、そう容易には読み進められないようなある種の威厳が、この物語には存在しました。

そして私は、お国という女性を、本当に好きになってしまいました。
好きな人と一緒にいたい。子供を産みたい。そして何より、踊りが大好き。何事も自分で決断し、1日1日をひたむきに生きる。歌舞伎の祖として名を残したお国の、ひたすら直球勝負な生き方は、私の憧れです。

さらに、そのお国を囲む脇役たちもまた、「素晴らしい!」の一言。
戦国の「起業バカ」・三九郎に、プチ家出の末、どんどんヤバくなるお菊。ストーカー・九蔵に、謎のカニ女・お松。そして、その人の良さに何度も涙してしまった傳介。それぞれの人生に何かしら心打たれるものがあり、どんな小さなエピソードも読み逃せないような緊張感が、読んでいる間じゅう、私にはありました。

そう言えば、先週の朝日新聞の土曜版に、人生を”長い坂”に見立てたこんな文章が載っていました。

「長い坂もいつかは終わる。いつまでも上り続けるわけにはいかない。」
「高いところに上るほど、下り方は難しい。」
「坂を下りたら独りきり。上っている時に、そのときへの備え、心構えができているかどうか。その人の評価はこれで決まる」

お国は、「死ぬるその日まで、踊って踊って踊りぬく」という決意を、人生の下り坂でもなお、貫き通しました。華麗にその坂の頂点に上り詰め、また自分の意思で、険しい下り坂をもきっちり下りきったお国。本を閉じた後、”自分もそんな女性になりたい”と、私は純粋に感動していました。

変な人生読本を読んで、自分の内面に悩むくらいだったら、この本を読んで本気で目の前のことに取り組んだ方がいいのかも。さあ、私はこれから、3歳の娘とヤマハに行って来ます。阿国歌舞伎には遠く及ばないけれど、娘と一緒に歌って踊って、母である自分を謳歌してきたいと思います。

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コメント

asaponさん^^おはようございます♪
なにやらasaponさんの中でお国が生きているようですね。素敵なお話に出会ったとき、私もこの中から出たくないような気がします。そして、一生懸命生きるパワーをもらえるような気がします。(その時だけ急に張り切ったりして・・・)
私は「しっかりさん」のお友達に会ったときもそうなります。普段の生活だけではすぐにダラリダラリとしてしまうんですが、「きちんとさん」とかに会うと、ピシッとします。そしてしばらくしたらまた・・・。駄目ですねぇ。
今日のヤマハは「ナイーブ」のわかめのごとくasaponさんが踊っているのが目に浮かぶようです。「いいぞ!その汗」

投稿: run | 2006/02/28 09:49

asaponさん、おはようございま~す♪
今度は「出雲阿国」!asaponさんの読書人生のベストテン!わぁ、これは読まずにはいられません。図書館で探してきま~す。読書大好きとか言いながら、推理小説ばかりの私、、、。あまりにも娯楽に走りすぎだわ~と最近ちょっと反省してます。

投稿: yoshiko | 2006/02/28 09:57

>runさん
なっ…!昨日の私のワカメ姿をお見通しとは…!御見それしましたー(笑)昨日のヤマハは、娘もノリノリで、コリッキーのごとく円の中心で踊りまくってました。
素敵な物語・人から、”一生懸命パワー”をもらう…。すっごくよくわかります。そしてそれが、大して持続力がないことも、私はよく知っています(汗)でも、大事なことですよね。私は、runさんほどメリハリのある生活を送っている方を知りません(*^_^*)これからも楽しくてシャキッとする刺激を、たくさん私に分けてくださいね。

>yoshikoさん
コメントありがとうございます!いやー良かったですよ、出雲の阿国。「有吉文学の中では、最高峰とは言いがたい」なんてアマゾンの書評では書かれていたけれど、私はすごく感動して、ラストのクライマックス部分では、涙が出そうになりました。そしてすぐ影響を受けてヤマハで踊る私…(笑)マズイ、次元が低すぎる(汗)
推理小説には、人間の心理が克明に描かれますよね。心のヒリヒリした部分に触れたくなった時、一番ふさわしいジャンルかもしれないですね(^o^)
そうそう、次は俵万智さんの「恋する伊勢物語」を読んでるんです。yoshikoさんが教えてくださった、業平が主役の宝塚も見てみたいなあ。

投稿: asapon | 2006/03/01 08:18

asaponさん、こんにちは。^^
天気も悪くて、この低気圧のために(きょうお医者さんに聞いたのです)、娘のぜんそくがゆうべはひどくて、今日はおとなしくしてます・・。
先日の絵本や本のおはなしだけど、確かに、気をつけていないと、いい出会いも気づかずに終わりそうですよね。いつも、いい状態でキャッチできるような自分でいたいです。^^

それにしても、asaponさんは、よく読まれてる・・私はたいてい寝る前なのだけど、毎日とはいかなかったり・・もうちょっと時間を上手に使わないとと思います。
この本も面白そう。asaponさんもかなり入り込んだ様子ですね^^。
先日紹介された「博士の・・」読み終えたので、感想を書いてみました。あまりまとまってないけど、思いつくまま・・(しか書けない)。
「きつねの・・」も、機会をみつけて読んでみたら、また感想をお知らせします^^

投稿: シェレン | 2006/03/01 14:58

>シェレンさん
コメント、ありがとうございます!お嬢さんの具合はいかがですか。心配ですね。私も、読書はたいてい寝かしつけながらなのだけど、夜中じゅう子供の看病があったりすると、ソワソワしてそんな時間も削られてしまいますよね。お嬢さんが早く良くなりますように。そしてお互い、自分の本の時間も楽しみましょうね。
そうそう、出雲の阿国も良かったです~。なんと言うか、お国の熱さが、私の温度にピッタリで、かなり夢中で読みました。こういうあっつい物語、好きなんですよねー(うっとり)。
私たちの娘は、一体どんな人生を歩むんでしょうね。お国みたいなカブキ者でもいいぞ~なんて思ってます(^^)

投稿: asapon | 2006/03/02 07:54

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